
まず、HubSpotの標準ワークフロー機能における「プロパティ値のクリア」の仕様をおさらいしましょう。
通常、コンタクトや会社のプロパティに入っている値を削除(空白に)したい場合、標準アクションの「プロパティ値をクリア」を使用します。機能としてはシンプルで申し分ありません。
しかし、ここには大きな構造上の限界があります。それは、「1つのアクションにつき、1つのプロパティしかクリアできない」という点です。
例えば、一度失注した商談を再利用するために、以下の5つの情報をリセットしたいとします。
標準機能でこれを行う場合、ワークフロー上には「プロパティ値をクリア」というアクションを5つ連続で並べる必要があります。
graph TD
A[トリガー] --> B[失注理由をクリア]
B --> C[競合他社名をクリア]
C --> D[次回の予定日をクリア]
D --> E[担当者メモをクリア]
E --> F[一時フラグをクリア]
F --> G[次の処理へ...]たったこれだけのために、画面のスクロール量は増え、全体像が把握しづらくなります。もしクリアしたい項目が10個あれば、アクションも10個必要です。これは、構築する際の手間だけでなく、将来的なメンテナンスの難易度を劇的に上げてしまいます。
たかが「クリア処理」ですが、これを一括で行いたいというニーズは、HubSpotを使い込んでいる企業ほど切実です。その理由は、単なる「見た目のきれいさ」だけではありません。
アクション数が多すぎると、後任の担当者がワークフローを見たときに、「どこで何をしているのか」を解読するのに時間がかかります。 「データの初期化処理」という塊(ブロック)として1つのアクションにまとまっていれば、「ここでリセット処理をしているんだな」と一目で理解でき、修正ミスも減ります。
サブスクリプションビジネスや、繰り返し参加可能なイベント運営では、同じコンタクトが何度も同じワークフローを通過します。 その際、前回のデータが残っていると誤作動の原因になります。新しいサイクルに入る前に、過去のデータを確実に、かつ素早く「更地」にする必要があります。
(大規模運用の場合)無駄なアクションステップを減らすことは、HubSpot内部の処理負荷を下げ、遅延なく次のステップへ進むために有効な場合があります。10回のアクション実行より、1回のバッチ処理の方がシステム的にもスマートです。
今回ご紹介する「一括クリア」機能は、具体的にどのようなシーンで役立つのでしょうか。動画の内容と一般的なビジネスシーンを照らし合わせ、3つのパターンを紹介します。
動画のデモ画面でもtest1〜test5というプロパティが登場していましたが、開発環境や検証用フローでは、テストデータが大量に蓄積されます。 検証が終わるたびに手動で消すのは面倒です。「テスト完了」のフラグが立ったら、テスト用に入力した5〜10個のパラメータを一撃で消去するワークフローを組んでおけば、常にクリーンな環境で検証を続けられます。
ウェビナー申込時に、「興味のあるトピック」や「質問事項」などをフォームで取得することがあります。 イベント終了後、これらの情報は「過去のもの」となります。次回のイベント招待を送る前に、これらの「一時的な回答データ」を一括クリアしておかないと、次回のフォーム入力時に古い情報がプレフィル(自動入力)されたり、セグメント条件に引っかかったりしてしまいます。
営業担当者が変更になったり、失注案件をインサイドセールスに戻す際、「前任者の主観的なメモ」や「古いフェーズ情報」を一括でリセットし、フラットな状態で次の担当者に渡したいケースです。 重要な履歴データは残しつつ、運用上のステータス管理用プロパティだけをまとめて5つクリアする、といった運用が可能になります。
HubSpot標準機能の限界を突破するために開発されたのが、Tech-Father社の「Batch Property Update Action」です。
このアプリを導入すると、ワークフローのアクション選択画面に、一度に最大5つのプロパティを操作できるカスタムアクションが追加されます。
動画(00:00〜00:20)の流れに沿って説明します。
たった1つの箱(アクション)を配置するだけで、これまで5つ並べていた「プロパティ値をクリア」アクションが不要になります。ワークフローが劇的に短く、シンプルになる快感をぜひ味わってください。
HubSpotワークフローで複数プロパティを一括クリアする方法
今回ご紹介した「マーケティングイベント 自動レコメンドアクション」は、HubSpotの可能性を広げる一例にすぎません。
重要なのは、「HubSpotの標準機能でできないから諦める」のではなく、「カスタム開発によって実現する」という選択肢があることです。
HubSpotは、APIを公開しており、非常に柔軟なカスタマイズが可能です。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、HubSpotの仕様とAPIの両方を深く理解した専門的な開発力が必要となります。
もし、あなたがHubSpotを使っていて「この機能さえあれば、業務が劇的に改善するのに」「このシステムと連携できれば、データ活用が次のレベルに進むのに」と悩んでいるなら、その「あったらいいな」を諦める必要はありません。
その「できない」を「できる」に変える開発リクエストを、専門家に相談してみませんか?
今回ご紹介したアクションは、まさにそうしたHubSpotのカスタマイズを専門とする株式会社Tech-Fatherによって開発されたものです。
同社は、HubSpotのカスタムワークフローアクション開発や、外部システムとのAPI連携など、HubSpotの「かゆいところ」に手が届くソリューションを提供しています。
