HubSpotにおける「キャンペーン」とは、特定のマーケティング施策に関連するツールやコンテンツを統合的に管理し、作成、管理、共同作業を効率化するための機能です。
これは、企業が展開する様々なチャネルでのマーケティング活動、たとえばコンテンツ、広告、メール、SNS投稿などを、特定の目標に紐づけて一元的に管理・分析できる機能として定義されます。単なるプロモーション活動に留まらず、特定目標(新製品の告知、イベントの認知度向上、リード獲得など)を達成するための組織的かつ戦略的な取り組み全体を指します。
HubSpotキャンペーンツールを活用することで、複数のアセット(コンテンツやツール)を用いて1つのマーケティングキャンペーンを構築し、その管理とレポート作成を単一のプラットフォーム上で完結させることが可能になります。
キャンペーンの一元管理が不可欠な理由
マーケティング施策が複雑化の一途をたどる現代において、キャンペーンの一元管理は必要不可欠な要素です。複数のツールやコンテンツが分散している状態では、マーケティング担当者はそれぞれの管理・作業に過大な時間と労力を費やし、業務効率が著しく低下します。
例えば、スケジュール調整のためにカレンダーアプリを開いたり、タスク管理シートをファイルサーバーから探し出すといった、本質的ではない作業に多くの時間を費やしてしまうでしょう。
HubSpotキャンペーンを利用することで、これらの施策を一元的に管理し、キャンペーン業務を大幅に効率化できます。これにより、マーケティング成果が可視化されやすくなり、マーケターは常に目標を意識し、企業戦略に合致した成果を達成しやすくなります。また、施策間の関連性を把握しやすくなるため、チーム内の連携が強化され、各メンバーがどのコンテンツや施策を担当しているかが明確になり、スムーズな情報共有を実現します。
HubSpotキャンペーンで統合できるアセット一覧
HubSpotキャンペーンでは、多種多様なマーケティングアセットやコンテンツを一元的に統合し、管理することができます。これにより、各アセットがキャンペーンの目標達成にどのように貢献しているかを総合的に把握することが可能です。具体的にキャンペーンに統合できる主な要素は以下の通りです。
- ブログ記事:キャンペーンに関連する情報発信やリード獲得に寄与するブログコンテンツ。
- ソーシャルメディア投稿:Facebook、X(旧Twitter)、LinkedInなどのプラットフォーム上でのキャンペーン告知やエンゲージメント促進コンテンツ。
- 広告キャンペーン:Google広告、Facebook広告、LinkedIn広告など、外部広告プラットフォームで実施される特定のキャンペーン広告。
- CTA(コールトゥアクション):ウェブサイトやメールに設置され、特定のアクション(資料請求、デモ予約など)を促すボタンやリンク。
- Eメール:ナーチャリングメール、プロモーションメール、ニュースレターなど、見込み客や顧客への直接的なコミュニケーション手段。
- Webページ(ランディングページを含む):キャンペーン専用に作成されたウェブサイトのページやランディングページで、リード獲得や情報提供を目的とするもの。
- ワークフロー:特定の条件に基づいて自動的に実行される一連のアクション(メール送信、プロパティ更新など)の自動化プロセス。
- フォーム:リード情報の収集やイベント登録などに使用される入力フォーム。
これらのコンテンツをHubSpotのキャンペーン機能内で一括管理し、相互に関連付けながら運用することで、マーケティング施策の全体像を把握し、効率的な実行と分析を実現できます。たとえば、ウェビナーへの登録を促進するキャンペーンでは、告知用のソーシャル投稿、詳細情報を提供するランディングページ、登録フォーム、リマインダーメール、そして参加後のナーチャリングワークフローまで、すべてを1つのキャンペーンとして整理し、そのパフォーマンスをまとめて追跡することが可能です。
HubSpotキャンペーン戦略がもたらす広範な利点
HubSpotのキャンペーン機能を有効活用することで、マーケティング活動は様々な面で大きなメリットを享受できます。単なる作業効率の向上に留まらず、マーケティング戦略全体の品質を向上させ、最終的なビジネス目標の達成に大きく貢献します。HubSpot導入によって得られる主要な効果を詳しく見ていきましょう。
マーケティングとセールス戦略の一貫性と精度向上
HubSpotを導入し、キャンペーンの作成、管理、分析を一元的に行うことの最も重要な利点の一つは、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスといった各部門の戦略に一貫性をもたらすことです。キャンペーンを単一のプラットフォームに集約することで、すべての部門が共通の目標とメッセージを共有しやすくなります。提供する情報に矛盾がなければ、顧客が製品を認識してから購入に至るまでの確率が高まります。
例えば、広告やソーシャルメディアで「持続可能性」という価値を強調している製品があるとします。このメッセージに共感して製品を検討している顧客に対して、突然「低価格」を強調した情報を提供すると、顧客は「これは自分の求めているものではない」と感じて離れてしまう可能性があります。
このように、顧客がどの段階にいても一貫した価値提案を行うことは、信頼関係を築き、購買意欲を維持するために不可欠です。HubSpotのキャンペーン機能は、このような情報の一貫性を容易にし、マーケティングとセールスの精度を大幅に向上させる基盤となります。
ツール切り替えの削減による業務効率化
HubSpotは、顧客の購買プロセスにおける各段階で必要となる多様なツールを包括的に提供している点が特徴です。HubSpotのキャンペーン機能を導入することで、キャンペーンで使用する様々なツールやコンテンツを一つのプラットフォームに集約できるため、ツールを切り替える手間が省けます。
これにより、マーケティング担当者は、従来の手間のかかる作業から解放され、大幅な業務効率の改善を実感できます。たとえば、キャンペーンのスケジュールを調整するために別のカレンダーアプリケーションを開いたり、タスクを管理するために複数のスプレッドシートやフォルダーを探したりする必要がなくなります。
すべての関連情報とツールがHubSpotのダッシュボード内でアクセス可能になるため、情報の分散が解消され、作業の中断が減り、より戦略的な業務に集中できます。これは、時間と労力の節約だけでなく、人的ミスの削減にもつながり、全体的な生産性の向上に貢献します。
効果測定と分析によるキャンペーンの改善
HubSpotのキャンペーンレポート機能は、実施した各戦略の効果と改善点を明確に把握するための強力なツールです。キャンペーンの精度を継続的に向上させるためには、実行した戦略の効果を測定し、その結果に基づいて適切なフィードバックを行うサイクルが不可欠です。
HubSpotを使用すると、キャンペーンに関連するすべてのデータを一か所に集約できるため、データ収集にかかる労力を大幅に削減できます。これにより、マーケティング担当者は、データ収集作業から解放され、より多くの時間を効果の確認や詳細な分析に費やすことができます。
具体的な分析データとしては、アセットに関与したコンタクト数、セッション数、新規コンタクト(初回タッチ・最終タッチ)、キャンペーンによる収益などが挙げられます。これらのデータを根拠に各戦略の改善を進めることで、キャンペーンの精度は継続的に向上し、より高い成果を目指すことができます。
チーム連携の強化とミスの防止
HubSpotキャンペーンの導入により、マーケティング、営業、カスタマーサポートといった部門間の連携が大幅に向上します。キャンペーンを一元的に管理することで、各担当者は共通の認識を持ち、キャンペーンの目的、目標、メッセージ、進捗状況に関する認識のずれを減らすことができます。役割分担が明確になるため、「誰がどのコンテンツを担当しているか」「どのコンテンツがどの施策で使用されているか」といった情報を容易に把握できます。この透明性により、コミュニケーション不足を減らし、チーム全体の円滑な協力を促進します。また、関連するコンテンツや広告などをまとめて管理できるため、「設定漏れ」や「配信忘れ」といった人的ミスを抑制できます。キャンペーンに関連するすべてのアセットを一覧できるため、細かなタスクの見落としを防ぎ、常に計画どおりの施策実行をサポートします。
PDCAサイクルを円滑にする環境構築
マーケティング施策を成功させるためには、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を迅速かつ継続的に実施することが重要です。HubSpotのキャンペーン機能は、このPDCAサイクルをスムーズに実行できる環境を提供します。施策の計画段階で目標を設定し、実行段階でHubSpotの様々なツールを使用してコンテンツを展開し、その成果をキャンペーンごとに集中的に測定・分析できます。例えば、どのメールが最もクリックされたか、どの広告が最も多くの新規リードを獲得したか、どのランディングページが最も高いコンバージョン率を達成したかといった詳細なデータを一元的に把握できます。これにより、成果を客観的に評価し、改善点や成功要因を容易に特定できます。分析から得られた知見をもとに、次の施策のための改善策を立て、再実行へとつなげるプロセスが円滑になるため、より効果的なマーケティング活動を継続的に実現できます。
HubSpotキャンペーンの主な機能と分析可能なデータ
HubSpotのキャンペーンツールは、複数のアセットを単にまとめるだけでなく、キャンペーンを成功させるために必要な幅広い機能を提供します。その中心となるのは、関連アセットの一括管理、詳細なレポートと分析、そして目標設定による成果追跡の3つの要素です。これらの機能が連携することで、マーケティング担当者はキャンペーンの全体像を把握し、データに基づいた戦略的な意思決定を行うことができます。
関連アセットの一元管理機能
HubSpotキャンペーン機能の基礎となるのは、関連するアセット(マーケティングコンテンツやツール)を一元的に管理できることです。キャンペーンを作成する際に、ブログ記事、ソーシャルメディアの投稿、メール、ランディングページ、広告、CTA、フォーム、ワークフローなど、キャンペーン目標の達成に役立つすべてのコンテンツを関連付けることができます。この一元管理により、各アセットがキャンペーン全体にどのように貢献しているかを包括的に把握することができます。
たとえば、新製品の発表キャンペーンでは、製品のランディングページ、発表を告知するソーシャルメディアの投稿、詳細情報を提供するメール、購入を促すCTA、そして顧客からの問い合わせを受けるフォームなど、さまざまなアセットが連携して機能します。HubSpotのキャンペーン機能では、これらのアセットを単一のダッシュボードで整理し、それぞれのパフォーマンスをまとめて追跡できます。
キャンペーンレポートと詳細な分析データ
HubSpotは、キャンペーンごとに自動で詳細なレポートを作成する、優れた分析機能を備えています。これにより、マーケターは「どのキャンペーンが最も効果的か」「どの施策が特に有効だったか」を明確に把握できます。キャンペーンに関するデータは一元管理されるため、データ集計の手間が省け、効果検証や深い分析に集中できます。このレポート機能は、キャンペーンの成果を多角的に評価し、今後の戦略改善に不可欠な洞察を提供します。
HubSpotのキャンペーンで分析できるデータ項目
HubSpotのキャンペーンレポートでは、以下に示す広範なデータ項目を分析できます。これらの指標を組み合わせることで、キャンペーン全体の効果と各要素の貢献度を深く理解することが可能です。
- アセットとエンゲージしたコンタクト数: キャンペーンで使用したアセット(メール、ランディングページなど)に反応したコンタクトの総数を計測します。これにより、キャンペーンが見込み客にどれだけリーチし、興味を引いたかを把握できます。
- セッション数: キャンペーンに関連するウェブサイトへのセッション数、つまりユーザーの訪問回数を測定します。これは、キャンペーンがウェブトラフィックをどれほど効果的に誘導できたかを示します。
- 新規コンタクト(ファーストタッチ): キャンペーンが、コンタクトがHubSpotに初めて登録された際の最初の接点となった新規コンタクトの数です。キャンペーンが新たなリード獲得にどれだけ貢献したかを評価する上で重要な指標です。
- 新規コンタクト(ラストタッチ): キャンペーンが、コンタクトが最終的な目標(例:契約)を達成する直前の最後の接点となった新規コンタクトの数です。キャンペーンがコンバージョンに直接的に貢献した度合いを示します。
- キャンペーンによる収益: キャンペーンの影響によって生まれた総収益額です。これはキャンペーンのROI(投資対効果)を測る上で最も重要な指標の一つであり、マーケティング活動がビジネスにもたらす金銭的価値を直接的に示します。
- インプレッション数: 広告やソーシャルメディアの投稿などが表示された回数です。認知度向上キャンペーンの効果測定に役立ちます。
- クリック数: 広告やCTAなどがクリックされた回数です。ユーザーの関心度や行動を促す効果を測ります。
- 影響を与えたコンタクト数(コンバージョンまでの接点を持った数): キャンペーンがコンバージョンプロセスにおいて何らかの形で関与したコンタクトの総数を示します。直接的なコンバージョンだけでなく、間接的な貢献度も把握できます。
- 成約件数: キャンペーンを通じて最終的に契約に至った顧客の数です。これは、マーケティング活動が営業成果にどれだけ貢献したかを示すものです。
- キャンペーン別ROI(費用対効果): キャンペーンに費やしたコストに対してどれだけの収益が得られたかを示す指標です。各キャンペーンの投資効率を評価し、予算配分の最適化に役立てます。
これらの詳細なデータは、マーケティング戦略のあらゆる側面を深く理解し、データに基づいた改善策を実行するための強固な基盤となります。HubSpotのキャンペーン機能を活用することで、各コンテンツのデータを分析し、マーケティング戦略に効果的に反映させることが可能になります。
HubSpotキャンペーンの具体的な作成方法
HubSpotでキャンペーンを作成するプロセスは直感的でありながら、マーケティング活動に必要な多くの詳細を設定できる柔軟性を備えています。キャンペーン作成機能は、HubSpot Marketing HubのProfessionalまたはEnterpriseプランで利用可能です。ここでは、新規キャンペーンの作成から目標設定、アセットの追加、そして効果測定のためのトラッキングURLの作成まで、具体的な手順を解説します。
新規キャンペーンの立ち上げ方
HubSpotで新たなキャンペーンを始めるための基本的な手順を解説します。これから説明するステップをイメージしながら読み進めてください。
- HubSpotへのログインとキャンペーンページへのアクセス: HubSpotのトップページで、上部メニューの「マーケティング」を探してクリックしてください。 表示されるメニューから「キャンペーン」を選び、キャンペーンの管理画面へ移動します。
- 新規キャンペーンの立ち上げ: キャンペーン管理画面の右上にある「キャンペーンを作成」ボタンをクリックします。 初めてキャンペーンを作る場合は、ガイド付きの「最初のキャンペーンを作成」オプションが表示されることがあります。これを利用すれば、安心して作成を進めることができます。すでに経験がある方は「説明は不要」を選んで、直接作成画面に進むことも可能です。
- キャンペーン情報の入力: 表示された画面で、キャンペーンに関する情報を入力します。これらの情報は、後からでも変更できます。 キャンペーン名: 具体的なキャンペーン名を記入します。これは内部管理だけでなく、レポートにも表示されます。 ビジネスユニット: 複数のビジネスユニットがある場合は、該当するものを選択します。これにより、特定の事業部門に関連するキャンペーンとして分類されます。 キャンペーン担当者: キャンペーンの責任者を設定します。これにより、チーム内での役割分担が明確になります。 開始日と終了日: キャンペーン期間を設定します。これらの日付はマーケティングカレンダーに反映され、スケジュール管理に役立ちます。 キャンペーンカラー: 他のキャンペーンと区別するために、色を設定します。管理画面での識別が容易になります。 目標: キャンペーンの主要な目標を簡単に記入します。詳細な目標設定は、作成後に行えます。 ターゲット: キャンペーンの対象となる顧客層について記入します。メッセージの一貫性を保つために重要です。 予算: キャンペーンのおおよその予算を設定します。費用対効果の分析の基礎となります。 メモ: その他の重要な情報や、チームと共有したい内容を自由に記載します。
- キャンペーンの作成完了: すべての情報を入力したら、「作成」ボタンをクリックします。これで新しいHubSpotキャンペーンが作成され、管理画面に移動します。
この手順で、キャンペーンの基本的な枠組みが完成します。次は、具体的な目標設定やコンテンツとの連携を行います。
キャンペーンへのアセットとコンテンツの紐付け
HubSpotキャンペーンの中核となるのは、様々なマーケティングアセットとコンテンツを関連付けて管理することです。これにより、キャンペーン全体の成果を把握し、各施策の貢献度を正確に測定できます。アセットの追加には、既存のコンテンツを利用する方法と、新しく作成する方法があります。
既存アセットの紐付け
HubSpotで作成済みのブログ記事、メール、ランディングページなどをキャンペーンに関連付ける手順は以下の通りです。
- キャンペーンの詳細画面に移動し、左上にある「キャンペーンを編集」ボタンをクリックします。
- 表示された画面の左側で、関連付けたいアセットの種類(ブログ記事、メールなど)を選びます。
- 選択したアセットの一覧が表示されるので、キャンペーンに関連付けたいものを選択します。
- 選択後、「保存」ボタンをクリックして確定します。
これにより、選択したアセットがキャンペーンの一部として管理され、成果データがキャンペーンレポートに統合されます。
アセット連携における重要な留意点
キャンペーンの効果を正確に把握し、適切な分析を行うためには、アセットの連携を徹底することが不可欠です。特に以下の点にご注意ください。
- 連携漏れの防止: メール、ランディングページ、ブログ記事などのアセットは、必ず該当するキャンペーンに紐付けましょう。連携を怠ると、それらのアセットから発生したトラフィックやコンバージョンがキャンペーンレポートに反映されず、キャンペーン全体の評価が不正確になる可能性があります。新しいコンテンツを作成する際は、キャンペーンへの紐付けを習慣化しましょう。
- 単一キャンペーンへの関連付け: HubSpotでは、原則として、マーケティングアセット(メール、ランディングページ、ブログ記事など)は一度に一つのキャンペーンにのみ関連付け可能です。別キャンペーンに紐付けられたアセットを新しいキャンペーンに追加すると、元のキャンペーンとの関連付けが解除され、新しいキャンペーンに紐付けられます。どのアセットをどのキャンペーンに関連付けるか、慎重に検討しましょう。
- 複数キャンペーンへの関連付け: 例外として、ワークフローとリストは複数のキャンペーンに関連付けできます。これは、特定のコンタクトリストや自動化プロセスが複数の異なるキャンペーンで利用されるケースに対応するためです。
- CRMで連携できるリストは動的リストではなく静的リストのみです。
上記の注意点を念頭に置き、正確なデータに基づいた効果的なキャンペーン運用を目指しましょう。適切なアセット連携は、HubSpotキャンペーン機能を最大限に活用し、マーケティング成果を向上させるための鍵となります。
効果測定のためのトラッキングURL生成
HubSpotのキャンペーン機能では、ウェブサイトに埋め込むトラッキングURLを生成することで、キャンペーンがウェブサイトへのトラフィックをどれだけ誘導したかを正確に把握できます。トラッキングURLは、UTMパラメータと呼ばれる特別なタグをURLの末尾に追加することで、トラフィックの流入元、キャンペーン、種類をGoogle Analyticsなどの分析ツールで詳細に識別できるようにします。
トラッキングURLの作成手順は以下の通りです。
- キャンペーンの詳細画面にアクセスし、右上にある「アクション」ボタンをクリックします。
- 表示されるメニューから「トラッキングURLを作成」を選択します。
- 表示されるウィンドウで、以下のUTMパラメータを設定します。 UTMキャンペーン (utm_campaign): 最も重要なパラメータであり、作成中のHubSpotキャンペーン名が自動で入力されます。キャンペーンが起因となったトラフィックを識別するために使用されます。HubSpotキャンペーンのダッシュボードに表示されるキャンペーン名がデフォルトで使用されます。 UTMソース (utm_source): トラフィックの発生源、つまり訪問者がどこから来たのかを指定します (例: google, facebook, newsletter)。 UTMメディア (utm_medium): マーケティングチャネルの種類を指定します (例: cpc, email, social)。任意で指定可能です。 UTMキーワード (utm_term): 有料検索キャンペーンで特定のキーワードを追跡する場合に指定します。任意で指定可能です。 UTMコンテンツ (utm_content): 同じ広告内の異なる要素 (例: バナー広告のA/Bテスト) を識別する場合に指定します。任意で指定可能です。
- 必要なUTMパラメータを設定後、「作成」ボタンをクリックします。
作成されたトラッキングURLは、ソーシャルメディア投稿、メールのリンク、外部ブログ記事、オフラインプロモーションなど、ウェブサイトへの誘導を目的としたあらゆる場所で使用できます。これにより、各チャネルからのトラフィックがどのキャンペーンに貢献しているかを正確に把握し、データに基づいたマーケティング戦略の調整と最適化が可能になります。
HubSpotキャンペーンの効率的な管理
マーケティング活動が活発化し、HubSpotで多数のキャンペーンが実施されると、個々のキャンペーンの管理が煩雑になることがあります。関与しているキャンペーンを探す手間や、特定の条件に合致する過去のキャンペーンを分析したいというニーズも生まれます。
HubSpotは、このような状況下でも業務を効率化するためのキャンペーン管理機能を提供しています。これらの機能を活用することで、キャンペーンの整理、再利用、不要なキャンペーンの削除などをスムーズに行うことができます。
キャンペーンのセグメント化
キャンペーンを特定の条件でグループ化する「セグメント化」機能は、多数のキャンペーンを効率的に管理し、必要な情報へ迅速にアクセスするために非常に役立ちます。例えば、特定の期間に実施されたキャンペーン、特定の製品に関するキャンペーン、特定のチームが担当したキャンペーンなどを容易に絞り込んで表示できます。
キャンペーンをセグメント化する手順は以下の通りです。
- HubSpotのメイン画面で、「マーケティング」>「キャンペーン」を選択し、キャンペーンダッシュボードへ移動します。
- キャンペーン一覧の「管理」タブで、テーブル上部にある「ビューを追加」ボタンをクリックします。
- プルダウンメニューから「新しいビューを作成」を選びます。
- 表示されるダイアログボックスに、新しいビューの名前(例:「2024年上半期キャンペーン」「顧客エンゲージメントキャンペーン」)と、ビューに含めるキャンペーンの条件(例:キャンペーンタイプ、終了日、地域など)を必要事項として入力します。
- 条件設定が終わったら、「保存」をクリックします。
これで、作成したカスタムビューがキャンペーンダッシュボードに表示され、クリックするだけで該当するキャンペーンのみを表示できます。この機能は、特に大規模な組織や多数のプロジェクトを抱える企業にとって、キャンペーン管理の効率を飛躍的に向上させます。
キャンペーンの複製機能とその注意点
以前に実施したキャンペーンの構成や設定を再利用し、新しいキャンペーンを素早く作成したい場合に便利なのが「キャンペーンの複製」機能です。これにより、ゼロから設定する手間を省き、キャンペーン開始までの時間を大幅に短縮できます。
キャンペーンを複製する手順は次の通りです。
- HubSpotのキャンペーンダッシュボードで、複製したいキャンペーンにカーソルを合わせます。
- キャンペーン名の横に現れる「複製」アイコン(通常は2つの重なった四角形のアイコン)をクリックします。
- 画面右側に表示されるパネルに、新しいキャンペーンの名前や開始日など、必要な情報を入力します。既存のキャンペーン情報があらかじめ入力されているため、変更が必要な箇所だけを修正します。
- 入力が完了したら「保存」をクリックします。
【注意点】 キャンペーンの複製機能を使用する際には、以下の点に留意してください。複製されたキャンペーンには、元のキャンペーンに関連付けられていた多くのアセット(メール、ランディングページ、ブログ記事など)が自動的に引き継がれます。ただし、ソーシャルメディアへの投稿とトラッキングURLはコピーされません。これらのアセットは、多くの場合、特定の公開日時やURLに関連付けられているため、新しいキャンペーン用に改めて作成・設定する必要があります。複製後には、必ず新しいキャンペーンの目的に合わせて、これらのアセットが適切に設定されているかを確認するようにしましょう。
不要なキャンペーンの削除
終了したキャンペーンや、誤って作成したキャンペーンなど、不要になったキャンペーンは削除することで、キャンペーンダッシュボードを整理し、見やすさを向上させることができます。誤って重要なキャンペーンを削除しないように、慎重に操作してください。
キャンペーンを削除する手順は以下の通りです。
- HubSpotのキャンペーンダッシュボードで、削除したいキャンペーンにカーソルを合わせます。
- キャンペーン名の横に表示される「アクション」ボタン(通常は縦に並んだ3つの点のアイコン)をクリックします。
- ドロップダウンメニューから「削除」を選びます。
- 表示されるダイアログボックスに、削除を確認するためのメッセージが表示されます。内容を確認し、問題なければ「削除」ボタンをクリックします。
一度削除されたキャンペーンは、HubSpotの画面からは見えなくなります。ただし、関連付けられていたアセット自体が削除されるわけではなく、キャンペーンとの関連付けが解除されるだけです。削除を実行する前に、本当にそのキャンペーンが不要かどうか、関連するデータやレポートに影響がないかなどを十分に確認することが大切です。
HubSpotキャンペーンによる成果の分析と改善
効果的なマーケティング活動を行うためには、キャンペーンを実施するだけでなく、その結果を正確に分析し、データに基づいた改善を継続的に行うことが不可欠です。HubSpotのキャンペーンツールは、キャンペーンのパフォーマンスを詳細に把握し、戦略的な意思決定をサポートするための強力な分析機能を提供します。ここでは、HubSpotでキャンペーンを分析し、より良い成果につなげる方法について解説します。
パフォーマンスの概要チェック
キャンペーンの成果を迅速に把握し、重要な指標を評価するには、各キャンペーンの概要ページを確認するのが最も効率的です。このページでは、キャンペーンの健全性と有効性に関する重要な情報が一目でわかるようにまとめられています。
パフォーマンス概要を確認する手順は次のとおりです。
- HubSpotのメイン画面で、「マーケティング」>「キャンペーン」を選択し、キャンペーンダッシュボードへ移動します。
- 分析したい特定のキャンペーン名をクリックして、そのキャンペーンの詳細画面を開きます。
- 詳細画面の「概要」タブで、以下の重要な指標を確認します。
- セッション数: キャンペーンがウェブサイトに誘導したトラフィック量を示します。 取引成立顧客数: キャンペーンが見込み客を営業プロセスに進め、最終的な取引にどれだけ貢献したかを示します。
- 収益アトリビューション: キャンペーンが生み出した総収益に対する貢献度を割合や金額で確認できます。これにより、各キャンペーンの直接的・間接的な収益貢献を評価できます。
- コンタクト数とセッション数の推移グラフ: 「コンタクト」および「セッション」のセクションでは、キャンペーン期間中のコンタクト獲得数やセッション数の増減が時系列グラフで表示されます。これにより、キャンペーンのどの期間に特に効果があったか、またはどの時期に成果が低下したかなどを視覚的に把握できます。
- 各アセットやコンテンツの成果: さらに画面を下へスクロールすると、キャンペーンに関連付けられている個々のブログ記事、Eメール、ソーシャルメディア投稿、広告などのアセットがそれぞれどれだけの成果(表示回数、クリック数、コンタクト数など)を生み出したかを詳細にチェックできます。
この概要ページを定期的にチェックすることで、キャンペーンの目標達成度を監視し、問題を早期に特定し、必要に応じて戦略を調整するための貴重な洞察を得られます。これにより、「どのキャンペーンが最も効果的か」を明確に可視化し、リソース配分の最適化に役立てることができます。
個々のキャンペーン成果の比較
HubSpotで複数のキャンペーンを実行している場合、どのキャンペーンが最も成果を上げているかを理解するためには、個々のキャンペーンの成果を比較することが重要です。この比較分析を行うことで、成功の要因や改善点を見つけ出し、将来のキャンペーン戦略に活用できます。
個々のキャンペーン成果を比較する方法は次のとおりです。
- HubSpotのキャンペーンダッシュボードで、「キャンペーンを比較」ボタンをクリックします。このボタンは通常、キャンペーンリストの上部または横にあります。
- 比較画面が表示されたら、ドロップダウンメニューから比較したいキャンペーンを複数選択します。通常、最大5つ程度のキャンペーンを同時に比較できます。
- 比較するキャンペーンの数を増やしたい場合は、「キャンペーンを追加」ボタンをクリックして、さらにキャンペーンを選択できます。
- キャンペーンを選択した後、必要に応じて「日付範囲」を設定します。これにより、特定の期間におけるキャンペーンの効果を比較することができ、例えば「前年同期のキャンペーンと今年のキャンペーンの効果を比較する」といった分析が可能です。
この比較機能を使用すると、異なるキャンペーン間のパフォーマンス指標(例:新規リード獲得数、コンバージョン率、収益など)を並べて確認できます。これにより、どのキャンペーンの戦略、ターゲットオーディエンス、コンテンツ、またはチャネルが最も効果的であったかを明確に識別し、今後のマーケティング活動の改善につながる具体的な知見を得ることができます。
HubSpotキャンペーンの高度な活用:テンプレート、タスク、カレンダー
HubSpotキャンペーン機能は、基本的な作成、管理、分析に加えて、より効率的な運用と戦略立案を支援するための高度なツールも提供しています。これらを活用することで、キャンペーンの計画段階から実行、そして進捗管理までを一貫して円滑に進めることができ、チーム全体の生産性向上に貢献します。
豊富なキャンペーンテンプレートの活用
HubSpotをマーケティングに使用したいが、どこから始めればよいか、どのようなコンテンツをキャンペーンに含めるべきかわからない場合でも、HubSpotが提供する豊富なキャンペーンテンプレートを活用することで、スムーズに計画・実行を進めることができます。これらのテンプレートは、特定のマーケティング目標を達成するために設計されており、必要なアセットや推奨される手順があらかじめ組み込まれています。現在、HubSpotでは12種類のキャンペーンテンプレートが利用可能で、多様なビジネスニーズに対応しています(2025年7月現在)。
HubSpotキャンペーンテンプレートの種類と具体例
HubSpotで提供されているキャンペーンテンプレートは、多岐にわたるマーケティング目標に対応できるように設計されており、それぞれのテンプレートが特定の状況に最適化されています。ここでは、主要なテンプレートと、その具体的な活用方法について詳しく解説します。
- カート放棄(Abandoned Cart): 目的: ECサイトなどで商品をカートに入れたものの、購入手続きを完了せずにサイトを離れてしまったユーザーに対して、購入を促すことを目的とします。 内容: 購入を中断したユーザーに対し、自動でリマインドメールを送信したり、関連商品の広告を再度表示するリターゲティング広告を実施したりすることで、購入完了へと誘導します。一般的には、カート放棄後すぐにメールを送るのではなく、数時間後、または翌日など、時間をおいて段階的に異なるメッセージを送信することで、顧客の注意を引きつけ、コンバージョン率の向上を目指します。
- Eメールドリップキャンペーン(Email Drip Campaign): 目的: 見込み客や既存顧客との関係性を段階的に深め、最終的に特定の行動(商品の購入、サービスの利用など)へと導くことを目標とします。 内容: ユーザーが特定の行動(フォームの送信、ウェビナーへの参加など)を起こしたことをトリガーとして、あらかじめ設定されたスケジュールに基づいて自動的に送信される一連のメールです。有益な情報の提供、製品のメリットの紹介、導入事例の共有などを通じて、顧客との関係を育成し、長期的な関係の構築をサポートします。
- 対面イベントプロモーション(In-Person Event Promotion): 目的: 展示会、業界カンファレンス、セミナーといった対面形式のイベントへの参加者を増やすことを目的とします。 内容: イベントの詳細情報を掲載したランディングページを作成し、ターゲットとする層にリーチできるようSNS広告やディスプレイ広告を活用し、参加登録を促すためのマーケティングEメールを組み合わせることで、イベントへの集客を強化します。早期割引や参加者限定の特典を提供することで、登録を促進する戦略も有効です。
- 社内ニュースレター(Internal Newsletter): 目的: 組織内のチームメンバーや関係者に対して、重要な情報、最新ニュース、プロジェクトの進捗状況などを定期的に共有することを目的とします。 内容: 社内向けのメールマガジンや専用のニュースレターを配信することで、会社の最新情報、プロジェクトの進捗状況、従業員向けの福利厚生情報などを効果的に伝えます。これにより、社内コミュニケーションを活性化させ、従業員のエンゲージメントを高める効果が期待できます。
- リードジェネレーション(Lead Generation): 目的: 新規の見込み客(リード)を効率的に獲得することを目的とします。 内容: 電子書籍のダウンロード、ウェビナーへの登録、無料トライアルへの申し込みなどを促すランディングページを作成し、それらのページへ誘導するためにブログ記事、ソーシャルメディア広告、SEO対策などを様々なチャネルで展開します。ターゲットとする顧客層が抱える課題の解決に役立つ、価値のあるコンテンツを提供することで、リードに関する情報を収集します。
- ロイヤルティプログラム(Loyalty Program): 目的: 既存顧客のブランドに対する忠誠心を高め、継続的な関係性を強化することを目的とします。 内容: 顧客向けの特典プログラム(ポイントシステム、限定割引、VIPサービスなど)への登録を促すためのEメール、ウェブサイト上での告知、パーソナライズされたオファーなどを提供します。顧客満足度を高め、リピート購入や長期的な顧客維持を目指します。
- ナーチャリング(Nurturing): 目的: 獲得した見込み客の関心を維持・育成し、購買意欲を高めて最終的なコンバージョンへとつなげることを目的とします。 内容: 見込み客の過去の行動履歴や興味関心に基づいて、パーソナライズされたEメール、リターゲティング広告キャンペーン、関連性の高いブログ記事や動画コンテンツを配信します。段階的に製品やサービスの価値を伝え、見込み客との信頼関係を構築することで、購買フェーズへの移行を支援します。
- 導入支援と歓迎(Onboarding and Welcome): 目的: 新規顧客が製品やサービスをスムーズに使い始められるようにサポートし、良い第一印象を与えることを目的とします。 内容: 新規登録後すぐに自動送信される歓迎メール、製品の使い方を説明するチュートリアルやFAQをまとめた専用のウェブサイト、初期設定をサポートするメッセージなどで構成されます。顧客が製品の価値を早期に理解し、継続して利用してもらうためのサポートを提供します。
- オンラインイベントの宣伝(Online Event Promotion): 目的: ウェビナー、オンラインセミナー、ライブストリームなどのオンラインイベントへの参加者を増やすことを目的とします。 内容: イベント登録用のランディングページを作成し、ソーシャルメディアでの告知、ターゲットを絞った広告キャンペーン、リマインドメールなどを活用します。イベントの魅力や参加するメリットを強調し、多くの見込み客を集めることを目指します。
- 製品の発売(Product Launch): 目的: 新商品や新サービスの発売を効果的に告知し、市場での認知度を向上させることを目的とします。 内容: 製品の特長やメリットを紹介する専用のランディングページ、発売前から関心を高めるティザーキャンペーンを含むEメールマーケティング、ソーシャルメディアへの投稿、プレスリリースの配信、インフルエンサーとの連携などを活用し、発売前の期待感を高め、発売後の購入を促進します。
- 製品セール(Product Sale): 目的: 期間限定セールや特別な特典を広く告知し、製品やサービスの販売を促進することを目的とします。 内容: セールの内容を明確に伝えるランディングページ、顧客の属性に合わせた割引コード付きのEメール、ソーシャルメディアでのカウントダウン告知、リターゲティング広告などを展開します。緊急性や希少性を強調することで、ユーザーの即時的な購入行動を促します。
- 再エンゲージメント(Re-engagement): 目的: 長期間にわたって活動が見られない、または関心が薄れてしまっているリードや顧客を再び活性化させることを目的とします。 内容: 反応が鈍くなったリードや顧客に対して、パーソナライズされた自動送信Eメール、特別なオファーを掲載したソーシャルメディア投稿、アンケートなどを通じて再度アプローチします。再び関心を引きつけ、購買プロセスやサービス利用に復帰してもらうことを目指します。
これらのテンプレートは、あくまで基本的な枠組みとして捉え、自社の具体的な目標やターゲットとする顧客層に合わせて最適化することが重要です。HubSpotのキャンペーンテンプレートを効果的に活用することで、マーケティング活動をより戦略的に、かつ迅速に進めることができるでしょう。
キャンペーンタスクによる進捗管理
HubSpotのキャンペーンツールには、キャンペーンに関連するタスクを整理し、チームメンバーの進捗状況を把握するための「タスク」機能が備わっています。この機能を使うことで、キャンペーン全体の作業を効率的に管理し、常に最新の状況を把握することが可能です。
キャンペーンタスクの活用は、以下の点で大きな効果を発揮します。
- 整理された状態の維持: キャンペーンの各段階で実行すべき具体的な作業(例:ブログ記事の作成、ソーシャルメディアへの投稿予約、広告クリエイティブのデザイン、Eメールコンテンツの校正、ランディングページの最終確認など)をタスクとして登録できます。これにより、キャンペーン全体を小さなタスクに分割し、一つずつ確実に実行していくことができます。
- チームメンバーの進捗状況把握: 各タスクに担当者を割り当て、完了期限を設定することで、チームリーダーやプロジェクトマネージャーは、メンバーの作業負荷や進捗状況を一覧で確認できます。これにより、問題点や遅延を早期に発見し、必要なサポートやリソースの再配分を行うことができます。
- 抜け漏れの防止: キャンペーンの成功には、細部にわたる作業が不可欠です。タスク機能を活用することで、重要な作業の抜け漏れを防ぎ、計画通りにキャンペーンを進めることができます。特に、複雑なキャンペーンでは、多くの部門や担当者が関わるため、タスク管理は非常に重要です。
- コミュニケーションの促進: タスクに関するコメント機能などを利用することで、タスクに関連する情報共有や議論をHubSpot内で行うことができ、別のツールを使う手間を省けます。
「タスク」機能は、キャンペーンツールの中で「何をすべきか」を明確にする中心的な役割を果たし、チーム全体の生産性と連携を向上させる上で欠かせない要素です。
キャンペーンカレンダーで全体像を把握
HubSpotのキャンペーンツールには、キャンペーンのスケジュールを視覚的に確認できる「キャンペーンカレンダー」機能が組み込まれています。このカレンダーを使用すると、週、月、日ごとにキャンペーンの実施期間や関連するイベントを表示し、マーケティング活動の全体像を把握することができます。
キャンペーンカレンダーの活用は、以下のようなメリットと活用方法をもたらします。
- コンテンツ公開の計画: キャンペーン作成後、マーケティングカレンダーを使って、ブログ記事の公開、Eメールの送信、ソーシャルメディアへの投稿スケジュールなど、コンテンツ公開の計画を確実に実行できます。カレンダー上でドラッグ&ドロップ操作でスケジュールを簡単に調整することも可能です。
- イベントの把握と連動: 特定の月(例:12月)に、アドベントカレンダーの無料配布などの季節イベントやホリデーキャンペーンを実施する際に、キャンペーンカレンダーが特に役立ちます。イベントの開始日と終了日、関連するプロモーション活動をカレンダー上で一元的に管理することで、最適なタイミングで効果的な施策を展開できます。
- リソース管理の最適化: 複数のキャンペーンが同時に進行している場合でも、カレンダーを見ることで各キャンペーンのリソース配分や重複状況を視覚的に確認できます。これにより、リソースの競合を避け、効率的な割り当て計画を立てることが可能になります。
- 関係者との情報共有: マーケティングカレンダーは、自分自身やチームの作業進捗を管理するだけでなく、キャンペーンの実行に関する情報を他の関係者(営業チーム、経営層など)と共有する際にも非常に有効です。視覚的なカレンダーは、複雑なスケジュールや相互依存関係を分かりやすく伝え、部門間の理解と連携を深めます。
キャンペーンカレンダーは、マーケティング担当者が戦略的な視点を持ってキャンペーンを計画し、計画通りに、かつ効果的に実行するための強力なサポートツールとなります。
HubSpotキャンペーン利用における重要な注意点
HubSpotのキャンペーン機能を最大限に活用し、期待されるマーケティング成果を達成するためには、そのメリットを理解するだけでなく、いくつかの重要な注意点も把握しておく必要があります。これらのポイントを事前に理解し、適切に対応することで、キャンペーン運用中の問題を回避し、よりスムーズで効果的な活動を実現できます。
アセットの関連付け徹底
HubSpotキャンペーンの効果測定の精度は、キャンペーンに関わる全てのアセットがきちんと関連付けられているかに大きく左右されます。したがって、アセットの関連付け漏れを防ぐことは非常に重要です。
- 正確な成果測定を実現: メール、ランディングページ、ブログ記事、フォーム、CTAなどのアセットは、必ずキャンペーンと関連付けましょう。もしアセットをキャンペーンに紐付け忘れると、そのアセットがもたらしたトラフィック、リード、コンバージョンなどのデータは、該当キャンペーンのレポートに正確に反映されません。その結果、キャンペーン全体の効果が実際よりも低く評価されたり、誤った分析に基づいて判断を下してしまう可能性があります。
- 新規コンテンツ作成時の注意点: 新しいコンテンツを作成する際は、HubSpotの作成画面にある「キャンペーンに関連付ける」オプションを使い、忘れずに適切なキャンペーンを選びましょう。この習慣を徹底することで、後から手動で関連付けを行う手間を省き、集計や分析をスムーズに進めることができます。
- 既存アセットの関連付け変更時の注意点: ほとんどのマーケティングアセットは、一度に一つのキャンペーンにしか関連付けられないというHubSpotの仕様を理解しておく必要があります。もし、すでに別のキャンペーンに関連付けられているアセットを新しいキャンペーンに追加すると、既存のキャンペーンとの関連付けは解除されます。そのため、アセットをどのキャンペーンに関連付けるべきか、そのアセットの主な目的や貢献度を考慮して慎重に判断することが大切です。ただし、ワークフローとリストは例外的に複数のキャンペーンに関連付けることができます。
アセットの関連付けは、HubSpotキャンペーンを「見える化」し、データに基づいた最適化を実現するための基盤となるため、運用チーム全体でその重要性を共有し、徹底することが求められます。
具体的で測定可能な目標設定
キャンペーンを開始する前に、具体的で測定可能な目標(KPI:重要業績評価指標)を明確に定めることは、キャンペーンの成否を客観的に評価し、その後の改善につなげる上で欠かせません。目標設定が曖昧だと、キャンペーンが成功したのか失敗したのか、どの部分を改善すべきかを判断することが難しくなります。
- 目標の明確化: 「新規リードを500件獲得する」「ウェブサイトのクリック率を2%向上させる」「キャンペーン経由での収益を100万円増やす」のように、誰が見ても明確に理解できる具体的な数値を目標として設定しましょう。「リードを増やす」「ブランド認知度を高める」といった抽象的な目標では、進捗状況を把握し、成果を評価することが困難です。
- 測定可能性の確保: 設定した目標がHubSpotのレポート機能やその他の分析ツールで実際に測定できる指標に基づいているか確認しましょう。例えば、インプレッション数、セッション数、コンタクト数、コンバージョン率、収益アトリビューションなど、HubSpotが提供する豊富なデータ項目を活用して目標を設定します。
- 戦略との整合性: 特にキャンペーンの中心となるランディングページやCTA(コールトゥアクション)などのアセットは、設定した目標に直接貢献するように、事前に用意し、適切に設計しておくことが重要です。例えば、リード獲得が目標であれば、質の高いフォームとそれに続くEbookダウンロード用のランディングページを用意するといった準備が必要です。
- PDCAサイクルの基礎: 明確な目標があれば、キャンペーン終了後にその達成度を評価し、成功要因や改善点を見つけやすくなります。このデータに基づいたフィードバックは、次のキャンペーンの計画に役立ち、PDCAサイクルを効果的に回すための強固な基盤となります。
具体的かつ測定可能な目標設定は、HubSpotキャンペーンを戦略的に運用し、マーケティングROI(投資対効果)を最大化するための最初の一歩であり、最も重要なステップと言えるでしょう。
HubSpot Marketing Hubのプラン条件
HubSpotのキャンペーン機能は、その高度な統合性と分析能力から、特定のHubSpot Marketing Hubプランでのみ利用可能です。この条件を事前に把握しておくことは、導入計画を立てる上で非常に重要です。
- 対象プランについて: HubSpotのキャンペーン作成および管理機能は、Marketing HubのProfessionalまたはEnterpriseプランで利用できます。Starterプランや無料版のHubSpot CRMでは、キャンペーン機能の全てを利用することはできません。これらの上位プランでは、Eメールマーケティング、ランディングページ、ブログ、ソーシャルメディア管理、広告管理、ワークフローなどの強力なマーケティングツールが提供されており、これらをキャンペーン機能と連携させることで、真に統合されたマーケティング活動が実現します。
- 機能制限について: ProfessionalまたはEnterpriseプラン以外のHubSpotプランを利用している場合、キャンペーンの作成、アセットの関連付け、詳細なキャンペーンレポートの生成といった中心的な機能を利用できません。例えば、個々のアセット(Eメールやランディングページ)自体は作成できても、それらを一つの「キャンペーン」としてまとめて管理・分析する機能は利用できないことになります。
- 導入前の確認事項: HubSpotの導入を検討している企業や、既存のプランからキャンペーン機能を利用したいと考えている企業は、事前に自社のHubSpot Marketing Hubプランを確認し、必要に応じてアップグレードを検討する必要があります。プランの詳細については、HubSpotの公式ウェブサイトやHubSpotの担当者にご確認ください。
適切なプランを選択することで、HubSpotキャンペーン機能を最大限に活用し、マーケティング戦略を効率的に実行し、ビジネス成果を最大化するための環境を整えることができます。
まとめ
HubSpotのキャンペーン機能は、現代の複雑なデジタルマーケティングにおいて、複数のチャネルにわたる施策を一元的に管理・分析し、その成果を最大化するために不可欠なツールです。この記事を通して、HubSpotキャンペーンの基本的な定義から、マーケティング・セールス施策の一貫性向上、業務効率化、データに基づいた効果測定と改善、チーム連携の強化、そしてPDCAサイクルの迅速化といった多岐にわたるメリットをご理解いただけたことと思います。
HubSpotを既に導入している企業様はもちろん、これから導入を検討されている企業様にとっても、このキャンペーン機能は、マーケティング活動の「見える化」を実現し、データに基づいた戦略的な運用を可能にする強力なツールです。HubSpotキャンペーンを最大限に活用し、新規顧客の獲得、売上の拡大、そして持続的なビジネス成長へと繋げていきましょう。
よくある質問
HubSpotキャンペーンとは何を意味するのでしょうか?
HubSpotにおけるキャンペーンとは、特定のマーケティングゴールを達成するために、計画的かつ戦略的に実行される一連のマーケティング活動を指します。これは、ブログ記事、SNS投稿、広告、メール、ランディングページ、自動化されたワークフローなど、様々なマーケティングリソースやツールをHubSpot内で集約し、管理・分析するための機能です。たとえば、新製品の発表やイベントへの集客といった明確な目標に向けて、複数のチャネルを統合的に運用するために用いられます。
HubSpotキャンペーンを利用するメリットは何ですか?
HubSpotキャンペーンを活用することで、多くのメリットが得られます。まず、マーケティング、セールス、カスタマーサービスといった部門間の連携が強化され、一貫性のある顧客体験を提供できます。また、複数のツールを使い分ける必要がなくなるため、業務効率が向上し、人的ミスを減らすことができます。さらに、各施策の成果をまとめて測定し、詳細な分析を行うことで、データに基づいた改善策を実施し、PDCAサイクルを迅速に回すことが可能です。チーム間の連携がスムーズになり、施策の抜け漏れを防ぐ効果も期待できます。
どのようなコンテンツやツールをキャンペーンに関連付けられますか?
HubSpotキャンペーンには、非常に広範なマーケティング資産やツールを関連付けることが可能です。具体的には、ブログ記事、ソーシャルメディアの投稿、広告キャンペーン(Google広告やFacebook広告など)、CTA(行動喚起)、マーケティングメール、ウェブページ(ランディングページを含む)、フォーム、ワークフローなどが挙げられます。これらのアセットを1つのキャンペーンに結びつけることで、各コンテンツのパフォーマンスをキャンペーン全体として把握し、統合的に管理・分析することができます。
HubSpotでキャンペーンを作成する手順を教えてください。
HubSpotでキャンペーンを作成するには、まずHubSpotにログインし、「マーケティング」から「キャンペーン」を選択し、右上の「キャンペーンを作成」ボタンをクリックします。次に、キャンペーンの名前、担当者、期間、目標、ターゲットオーディエンス、予算といった詳細情報をダイアログボックスに入力します。作成後、キャンペーンの詳細画面から「アクション」>「目標を編集」を選択し、具体的な目標を設定します。その後、「アセットを追加」から既存のコンテンツを紐付けるか、新規アセットを作成して関連付けます。最後に、「アクション」>「トラッキングURLを作成」を選択し、効果測定用のURLを生成します。
キャンペーンの成果をどのように分析できますか?
HubSpotは、キャンペーンの効果測定に役立つ多岐にわたるレポート機能を提供しています。各キャンペーンのダッシュボードにある「概要」セクションでは、セッション数、コンバージョン数、収益貢献度、新規顧客獲得数(初回接触・最終接触)、各コンテンツの成果などを把握できます。さらに、期間を指定したグラフで、顧客やセッションの推移を視覚的に確認できます。「キャンペーン比較」機能を使えば、複数のキャンペーンの成果指標を一覧で比較検討し、最も効果的なキャンペーンを特定することができます。
キャンペーンテンプレートはどのような種類がありますか?
HubSpotには、効率的なキャンペーン作成をサポートする多様なテンプレートが用意されています(2025年7月現在)。具体的には、ショッピングカート放棄対策、段階的なメール配信、オフラインイベント告知、見込み客獲得、顧客育成、新製品発表、製品セール、休眠顧客再活性化など、様々なマーケティング目標に対応した12種類のテンプレートがあります。これらのテンプレートには、各シナリオに最適なコンテンツや手順が事前に設定されており、キャンペーン構築にかかる時間と労力を削減し、迅速な実行を可能にします。