【HubSpot活用術】「なぜこれができない?」を解決。最適な自社製品セミナーを自動レコメンドするカスタムワークフロー

Mia Bytefield
November 8, 2025

参考動画:

HubSpotの標準機能の「壁」 - なぜセミナーの自動レコメンドが難しいのか

HubSpotのワークフローは、「Aというトリガーが発動したら、Bというアクションを実行する」というロジックにおいては非常に優秀です。例えば、以下の処理は標準機能で全く問題なく実行できます。

  • フォームを送信したら、サンキューメールを送る。
  • 特定のページを3回訪問したら、営業担当に通知する。
  • プロパティが「顧客」になったら、オンボーディングのメールシーケンスに登録する。

これらの共通点は、「過去に発生したイベント」や「現在設定されている静的なプロパティ」を起点にしていることです。

では、「セミナーやウェビナーの自動レコメンド」で難しいのはどの部分でしょうか。それは、「未来の動的なデータセット(=開催予定のイベントリスト)」を検索し、「複雑な条件で絞り込み」、「最適な1件を選ぶ」という処理です。

例えば、以下のようなBtoBマーケティングでよくある要件を考えてみましょう。

「コンタクトのプロパティ『興味・関心』が『人事評価システム』で、過去に『入門セミナー』に参加したことがある人」に対して、「『人事評価システム』カテゴリのウェビナーの中から」「開催日が1ヶ月以上先で」「まだ本人が申し込んでいない」「『中級編:活用事例セミナー』を1件だけ自動で選び出して」「そのイベント情報をメールで送りたい」

これをHubSpotの標準機能で実現しようとすると、以下のような問題に直面します。

  1. 「開催予定のセミナー」データはどこにある?
    • HubSpotの標準オブジェクト(コンタクト、会社など)とは別に、セミナー情報を「カスタムオブジェクト」や外部データベースで管理している場合、標準のワークフローはそれらのデータを自由に「検索」しにいくことができません。
  2. 「1ヶ月以上先」という動的な日付の比較が難しい
    • ワークフローが実行される「今日」を基準に、「1ヶ月以上先」のセミナーを探し出すという動的な絞り込みは、標準機能の「if/then分岐」では限界があります。
  3. 「最適な1件」を選ぶロジックが組めない
    • もし条件に合うウェビナーが5件見つかった場合、どれを優先してレコメンドするのか? 標準機能では、そのような複雑な選択ロジックを組むことはできません。

この結果、多くのマーケターは、膨大な工数をかけて手動でリストをセグメントし、特定のセミナー専用の固定的な招待メールを作成・配信するという、属人的で非効率な作業を繰り返すことになってしまいます。

マーケターが「セミナーの自動レコメンド」を実現したい本当の理由

では、なぜマーケターはこれほどまでにセミナーやウェビナーの自動レコメンドにこだわるのでしょうか。それは、この機能が実現すると、ビジネスに計り知れないメリットをもたらすからです。

1. 究極の顧客体験 (CX) の提供

顧客は、自分に関係のない情報の洪水にうんざりしています。過去に「人事評価システム」のセミナーに参加した人に、突然「採用管理システム」のウェビナーを案内しても、それは「ノイズ」でしかありません。顧客の興味・関心、過去の参加履歴、検討フェーズに基づいた「あなたにこそ参加してほしい」という的確なレコメンドは、顧客に「自分のことを理解してくれている」という信頼感を与え、企業と顧客とのエンゲージメントを劇的に高めます。

2. コンバージョン率 (CVR) の最大化

無関係な100通のメールよりも、完璧にパーソナライズされた1通のメールの方が、セミナーの申し込み(コンバージョン)に至る可能性が遥かに高いのは自明です。自動レコメンドは、最も確度の高い見込み客に、最も響くタイミングで、最も適切なイベントを提示することで、マーケティングROIを最大化します。

3. 圧倒的な業務効率化(工数削減)

前述の手動セグメンテーションとメール作成の作業から解放されます。一度「自動レコメンドワークフロー」を設定してしまえば、あとはシステムが24時間365日、最適なマッチングを自動で行い続けます。マーケターは、リスト作成のような単純作業ではなく、セミナー自体の企画やコンテンツの質を高めるといった、より創造的な業務に時間を使えるようになります。

4. LTV(顧客生涯価値)の継続的な向上

顧客を一度獲得して終わりではなく、継続的に関連性の高いコンテンツ(セミナー、ウェビナー)を提供し続けることで、顧客を飽きさせません。入門、中級、上級へとステップアップしてもらうことで、アップセルやクロスセルの機会を創出し、顧客ロイヤルティを高め、LTVの向上に直結させることができます。

具体的な利用シーン (ユースケース)

今回の動画で紹介されているカスタムアクションは、以下のような具体的なシナリオで真価を発揮します。

  • ユースケース1:過去の参加セミナーに基づく関連ウェビナーのレコメンド
    • トリガー: コンタクトが「SaaS製品A 導入基礎セミナー」に参加した。
    • ワークフロー: 30日待機。
    • カスタムアクション:
      • 基本カテゴリ:「SaaS製品A」
      • イベントタイプ:「中級」
      • 日付設定:「1ヶ月以上先」
    • 結果: 「SaaS製品A 活用とROI最大化ウェビナー」の案内が自動送信される。
  • ユースケース2:資料ダウンロードに基づく初回セミナーのレコメンド
    • トリガー: コンタクトが「人事評価システム 導入事例集」をダウンロードした。
    • カスタムアクション:
      • 基本カテゴリ:「人事評価システム」
      • セミナー回数:「1」(=入門編を探す)
    • 結果: 「初心者向け!人事評価システム導入セミナー」の案内が自動送信される。
  • ユースケース3:セミナーの「空席」を埋めるための自動プッシュ
    • トリガー: 開催日1週間前のセミナーで、まだ空席がある。
    • ワークフロー: (別トリガーで起動)
    • カスタムアクション:
      • 日付設定:「1週間以内」
      • 除外ID:[すでに満席のイベントID]
    • 結果: まだ申し込んでいない関連顧客リストに対し、「間もなく開催!人気セミナーのご案内」といった形で、空席を埋めるための最後の一押しを自動で行う。

では、どうすれば実現できるのか?

この「夢の自動化」を実現するのが、動画で紹介されているサードパーティ製の「カスタムワークフローアクション」です。

これは、HubSpotのワークフロービルダーに、標準機能にはない特殊な機能ブロック(アドオン)を追加することで、複雑な処理を可能にするものです。

動画で示されている流れは非常にシンプルです。

  1. 検索: カスタムアクションが、あらかじめ設定した条件(例:製品カテゴリ、開催時期など)に合うセミナーやウェビナーを自動で検索します。
  2. 保存: 見つかったイベント情報(開催日やイベントIDなど)を、HubSpotのコンタクトプロパティに自動で書き込みます。
  3. 活用: あとは、メール送信アクションでそのプロパティを呼び出すだけで、「あなたに最適なセミナーは○月○日開催です」といったパーソナライズメールが自動で送れるようになります。

このように、標準機能では手作業で分岐設定を繰り返すしかなかった処理を、一つのアクションでスマートに解決できます。動画で紹介されているような詳細な設定方法については、このアクションの提供元ページでご確認いただけます。

カスタムワークフローのマーケティングイベントの詳細はこちら

HubSpotの「できない」を「できる」に変える開発力

今回ご紹介した「マーケティングイベント 自動レコメンドアクション」は、HubSpotの可能性を広げる一例にすぎません。

重要なのは、「HubSpotの標準機能でできないから諦める」のではなく、「カスタム開発によって実現する」という選択肢があることです。

  • 「自社の基幹システムとHubSpotのデータを双方向で連携させたい」
  • 「ワークフロー内で独自の複雑な計算(例:カスタムリードスコア)を実行したい」
  • 「特定の業界向けSaaSとAPI連携し、情報をプロパティに書き込みたい」

HubSpotは、APIを公開しており、非常に柔軟なカスタマイズが可能です。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、HubSpotの仕様とAPIの両方を深く理解した専門的な開発力が必要となります。

もし、あなたがHubSpotを使っていて「この機能さえあれば、業務が劇的に改善するのに」「このシステムと連携できれば、データ活用が次のレベルに進むのに」と悩んでいるなら、その「あったらいいな」を諦める必要はありません。

その「できない」を「できる」に変える開発リクエストを、専門家に相談してみませんか?

今回ご紹介したアクションは、まさにそうしたHubSpotのカスタマイズを専門とする株式会社Tech-Fatherによって開発されたものです。

同社は、HubSpotのカスタムワークフローアクション開発や、外部システムとのAPI連携など、HubSpotの「かゆいところ」に手が届くソリューションを提供しています。

Mia Bytefield
November 8, 2025