HubSpotで「住所から郵便番号」を自動補完するには?CRMデータ品質を高めるワークフロー活用の新常識

Mia Bytefield
November 19, 2025

参考動画:

1. HubSpotの標準機能で「できること」と「できないこと」

HubSpotは非常に強力なプラットフォームですが、すべてのデータ処理機能がデフォルトで備わっているわけではありません。特に日本の商習慣や細かなデータ処理においては、標準機能だけでは痒い所に手が届かない場面があります。

ワークフローの標準機能

HubSpotの「ワークフロー」機能を使えば、プロパティの値が変わったことをトリガーにして、メールを送信したり、タスクを作成したり、別のプロパティに値をコピーしたりすることは簡単にできます。例えば、「都道府県」プロパティが「東京都」になったら、担当者を「東京チーム」に割り当てるといったロジックは標準機能で完結します。

「住所から郵便番号」における課題

しかし、「住所(テキスト)」という情報を読み取り、外部のデータベースと照合して、正確な「郵便番号」を返してもらうという処理は、HubSpotの標準アクションには存在しません。

通常、住所から郵便番号を知るには、以下のいずれかの方法を取る必要があります。

  1. 手動入力: オペレーターがGoogleマップや郵便局のサイトで住所を検索し、該当する郵便番号をコピーしてHubSpotに入力する。
  2. フォームでの入力: 顧客がフォーム送信時に自分で入力する(ここでも入力ミスや、住所と郵便番号の不一致が起こり得ます)。

つまり、すでにHubSpot内にある「住所データ」を活用して、空欄になっている「郵便番号」を自動で埋めるという動きは、標準機能のままでは自動化できないのです。これが、データクレンジングやリスト作成時の大きなボトルネックとなっています。

2. なぜ「住所から郵便番号」を検索する必要があるのか?

「たかが郵便番号」と思われるかもしれませんが、ビジネスにおいて正確な郵便番号データが揃っていることは、極めて高い利用価値とコスト削減効果をもたらします。ここでは主な利用用途と、自動化したいと思う理由を整理します。

① 郵送DM(ダイレクトメール)の不達率改善とコスト削減

B2B、B2C問わず、物理的なDM送付は依然として有効なマーケティングチャネルです。しかし、住所データがあっても郵便番号が欠けていたり、間違っていたりすると、配送業者の仕分けでエラーになったり、配達が遅延したりする原因になります。最悪の場合、宛先不明で戻ってきてしまい、印刷費と送料が無駄になります。住所から正確な郵便番号を逆引きして付与することで、これらのロジックを適正化し、配送コストを最適化できます。

② セールステリトリーの自動割り当て

営業組織がエリア制(東日本、西日本など)を敷いている場合、担当割り当てのロジックに郵便番号を使うケースが多くあります。住所のテキストデータ(例:「東京都港区...」)で振り分けることも可能ですが、表記ゆれ(「東京都」と「東京」の違い、全角半角の違いなど)により自動化が複雑になりがちです。一方、郵便番号(例:100-0000)は数値管理ができるため、エリア判定のルールが非常にシンプルかつ正確になります。「この郵便番号範囲はAチーム」といった明確なルール化が可能になり、リードへの即時対応(スピード・トゥ・リード)が向上します。

③ 顧客データの正規化(データクレンジング)

展示会で交換した名刺や、過去のキャンペーンで獲得したリード情報など、住所の一部しか入力されていないデータはCRM内に蓄積されがちです。「住所はあるが郵便番号がない」という状態は、データの完全性を損ないます。住所情報をトリガーとして郵便番号を自動付与できれば、過去のデータ資産を一括でクレンジングし、「使えるデータ」へと昇華させることができます。

④ 入力フォームの離脱率防止(EFO)

これはWebフォーム側の話に近いですが、バックエンドで住所から郵便番号を補完できる仕組みがあれば、顧客に入力させる項目を減らすことができます。顧客体験を損なわず、かつ裏側では完全なデータを保持することができるようになります。

3. HubSpotでこれを実現するには?(簡単な解決策)

HubSpotの標準機能では難しい「外部データベースを用いた検索と補完」ですが、これを実現するために複雑なプログラミングを一から学ぶ必要はありません。HubSpotの強力なエコシステムである「アプリ連携」や「カスタムワークフローアクション」を利用するのが近道です。

カスタムワークフローアクションとは

HubSpotのワークフローの中に、サードパーティ製(外部開発)の機能を「アクション」として組み込む仕組みです。

通常のワークフロー作成画面で、「メールを送る」「プロパティを更新する」といったアイコンを選ぶのと同じ感覚で、「住所から郵便番号を検索する」というアクション配置できるようになります。

導入と設定のイメージ

具体的な手順は非常にシンプルです。複雑なAPI連携のコードを書く必要はありません。

  1. アプリのインストール:専用の連携アプリをHubSpotポータルにインストールします。
  2. ワークフローの作成:HubSpotのワークフロー画面を開き、トリガーを設定します。(例:住所プロパティが更新されたら、など)
  3. アクションの追加:アクションの選択肢から、インストールしたアプリの機能(例:「Postal Code Search Action」など)を選びます。
  4. プロパティのマッピング:
    • 検索元のデータ: どのプロパティに入っている住所を使うか指定します(例:Contactの「住所」プロパティ)。
    • 保存先のデータ: 検索結果の郵便番号をどのプロパティに保存するか指定します(例:Contactの「郵便番号」プロパティ)。

これだけで設定は完了です。あとは自動的にワークフローが走り、住所プロパティの値を読み取って、正確な郵便番号を該当プロパティ書き込んでくれます。

動画等で見るような「ログ」を確認すると、システムが裏側で住所を解析し、正しいコード(例:Burnaby, BCの住所からV5H 0G6を取得するなど)を返してきている様子がわかりますが、ユーザーが意識するのは「住所を入れたら、勝手に郵便番号が入っていた」という快適な結果だけです。

この機能を利用できるツール

この「住所から郵便番号を検索・登録する」という特化型のアクションは、以下のページで紹介されているツールを利用することで、ノーコードかつスムーズにHubSpot環境へ実装することが可能です。

既存の住所データを活かしたい、手入力の手間をゼロにしたいとお考えの方は、ぜひ詳細をご確認ください。

住所情報が入力された際に、自動で郵便番号を検索し、データを補完する便利なカスタムワークフローアクション

HubSpotの「できない」を「できる」に変える開発力

今回ご紹介した「マーケティングイベント 自動レコメンドアクション」は、HubSpotの可能性を広げる一例にすぎません。

重要なのは、「HubSpotの標準機能でできないから諦める」のではなく、「カスタム開発によって実現する」という選択肢があることです。

  • 「自社の基幹システムとHubSpotのデータを双方向で連携させたい」
  • 「ワークフロー内で独自の複雑な計算(例:カスタムリードスコア)を実行したい」
  • 「特定の業界向けSaaSとAPI連携し、情報をプロパティに書き込みたい」

HubSpotは、APIを公開しており、非常に柔軟なカスタマイズが可能です。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、HubSpotの仕様とAPIの両方を深く理解した専門的な開発力が必要となります。

もし、あなたがHubSpotを使っていて「この機能さえあれば、業務が劇的に改善するのに」「このシステムと連携できれば、データ活用が次のレベルに進むのに」と悩んでいるなら、その「あったらいいな」を諦める必要はありません。

その「できない」を「できる」に変える開発リクエストを、専門家に相談してみませんか?

今回ご紹介したアクションは、まさにそうしたHubSpotのカスタマイズを専門とする株式会社Tech-Fatherによって開発されたものです。

同社は、HubSpotのカスタムワークフローアクション開発や、外部システムとのAPI連携など、HubSpotの「かゆいところ」に手が届くソリューションを提供しています。

Mia Bytefield
November 19, 2025