請求書PDF化:業務効率化とコスト削減を実現するデジタル請求書の活用

techfather.com
March 17, 2025

請求書PDF化とは?

請求書をPDF化するということは、これまで紙媒体で発行し、郵送していた請求書を、PDF(Portable Document Format)という電子ファイル形式に変換し、Eメールやクラウドサービスなどを利用して送信・保管することを意味します。このPDF化は、紙の使用量を減らすペーパーレス化を推し進め、業務の効率化やコストの削減に繋がるため、多くの企業で導入が進んでいます。

請求書 PDF

請求書のPDF化に関するよくある疑問

請求書をPDF化するにあたって、多くの人が疑問に思う点について説明していきます。

PDFの請求書は法的に有効?

請求書をPDF形式で送付することは、法律上問題ありません。請求書の発行形態(紙かPDFかなど)は法律で定められていないため、PDF形式の請求書も、紙の請求書と変わらず正式な書類として扱われます。最も大切なことは、請求書の内容が正確であり、取引があった事実を証明できることです。ただし、請求書を正式なものとして、自社と取引先の双方で共通認識を持つことが重要です。

PDFの請求書に印鑑は必要?

請求書への押印は、法律で必ず行わなければならないものではありません。紙の請求書に押印することは、日本のビジネス習慣として広く浸透していますが、PDF形式の請求書に電子印鑑を添付することも可能です。しかしながら、電子印鑑に法的な効力はありません。会社によっては、請求書への押印を必須としている場合もあるため、事前に取引先に確認することをお勧めします。

PDFの請求書に社印(角印)を押す場合は、「請求書をPDFに変換する際に、画像データとして印影を貼り付ける」方法が一般的です。

請求書をPDF化した場合、原本の保管義務は?

税法では、請求書を含む会計帳簿や証拠書類について、一定期間の保存が義務付けられています。法人においては原則として7年間、消費税の課税対象となる個人事業主も同様に7年間の保存が必要です。ただし、2018年4月1日以降に始まった事業年度で欠損金が発生した場合には、保存期間は10年となります。従来の紙媒体での保管に加え、電子帳簿保存法の定める要件を満たすことで、PDF等の電子データでの保管も認められています。特に、2022年1月に改正された電子帳簿保存法によって、電子的なやり取りで受け取った請求書は、原則として電子データのまま保存することが義務付けられました。

請求書を受け取る側も、電子データとして保管する場合には、請求書の発行側と同様に電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。もし電子帳簿保存法への対応が難しい取引先がある場合は、紙の請求書での対応を続けるなど、状況に応じた柔軟な対応を検討しましょう。

請求書 PDF

請求書に記載すべき必須項目

請求書に記載するべき項目は、紙の請求書とPDF化した請求書とで違いはありません。請求書には、以下の項目を必ず記載するようにしましょう。

  • 請求書の発行年月日
  • 請求書番号(連番など)
  • 発行者の氏名または会社名
  • 発行者の住所
  • 発行者の連絡先(電話番号、メールアドレス等)
  • 請求書の宛名(取引先の氏名または会社名)
  • 取引内容の詳細
  • 商品の単価
  • 商品の数量
  • 合計金額
  • 消費税額
  • 支払い期限
  • 振込先情報(銀行名、支店名、口座番号、口座名義)

2023年10月1日からはインボイス制度が導入され、適格請求書(インボイス)として記載すべき項目が追加されました。インボイス制度下では、仕入税額控除を適用するために、従来の区分記載請求書に加え、以下の情報を記載する必要があります。

  • 適格請求書発行事業者の登録番号
  • 税率ごとに区分した課税売上高(税抜または税込)の合計額
  • 税率ごとに区分した消費税額

インボイスについても、PDFファイルとして発行・受領することが可能です。インボイス制度開始後は、請求業務がより複雑になることが予想されます。そのため、請求・支払業務の効率化と負担軽減を目的として、インボイスをPDF化して送受信・管理する仕組みの導入を検討する企業が増加しています。

請求書 PDF

PDFで請求書を発行する利点

請求書をPDF形式で発行することには、様々なメリットが存在します。

コストの削減

請求書の発行を紙媒体からPDFに切り替えることで、印刷コスト、用紙代、インク代、封筒代、郵送費用といった様々なコストを削減できます。さらに、請求書を物理的に保管するためのスペースやキャビネット等の備品も不要になります。加えて、押印作業、封入作業、投函作業といった人的コストも削減することができ、その分のリソースを他の業務に有効活用することが可能です。

請求業務の効率化

請求書をPDF形式で作成することで、メールやオンラインストレージを活用し、迅速な送付が可能です。これにより、従来の郵送にかかっていた時間を大幅に短縮し、請求業務全体の効率を向上させることができます。紙の請求書では避けられなかった郵送の時間的制約から解放され、PDFならばほぼリアルタイムでの共有が実現します。また、修正や再発行が生じた際も、PDFデータを修正して再送するだけで済むため、迅速かつ柔軟な対応が可能です。

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容易な検索機能

請求書をPDF化することで、ファイル名や特定のキーワードによる検索が容易になり、必要な情報を迅速に探し出すことができます。紙媒体の請求書では、大量の書類の中から手作業で探し出す必要がありましたが、PDFであれば、高度な検索機能を活用して効率的に情報を抽出できます。過去に発行または受領した請求書に関する社内からの問い合わせや、監査対応などで書類の提出を求められた場合でも、迅速に必要なデータを見つけ出し、参照・出力することが可能です。

請求書PDFをメールで送信する際には、送信履歴を容易に確認できます。さらに、Web配信サービスを利用することで、相手が請求書データをダウンロードしたかどうかを確認することも可能です。

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改ざんリスクの低減

PDF形式のファイルは、ExcelやWordファイルと比較して容易に改ざんすることが難しいため、請求書の信頼性を高める上で有効です。重要な情報を含む請求書を安全に送付するために、PDF形式は非常に有効な手段となります。電子帳票システムでタイムスタンプを付与することにより、電子データの「存在時刻」と「非改ざん性」が保証され、より効果的な不正対策として機能します。

リモートワークの推進

請求書をPDF形式で運用することにより、印刷、封入、封緘といった物理的な作業が不要となり、インターネット環境があればどこからでも請求業務を行うことが可能になるため、リモートワークを促進します。紙ベースの請求書関連業務では、これらの作業のためにオフィスへの出社が必要となる場合がありますが、PDFを活用すれば、自宅などオフィス以外の場所でも業務を完結させることができます。

紙の請求書からPDFの請求書発行に変える方法

紙媒体の請求書から、PDF形式での請求書発行へ移行するには、いくつかの手順があります。

ExcelやWordで作成後に印刷している場合

もし請求書をExcelやWordなどで作成しているなら、完成したファイルをPDF形式で保存し、メールに添付して送付するのが一般的です。ただし、PDFに変換されたファイルがExcelやWordで表示されている内容と異なってしまう場合があるため、送信する前にPDFファイルが正しく表示されているか確認することが重要です。

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印刷機から紙の請求書が出力されるシステムの場合

社内システムから請求書を印刷しているケースでは、システムの設定を変更してPDFで出力できるように変更を試みましょう。通常は情報システム部門に依頼して、PDFで出力できるよう設定を調整してもらいます。システムの出力設定変更が難しい場合は、請求書の元データ(CSVなど)を利用して、専用のツールを用いてPDFの請求書を作成する方法を検討する必要があります。

請求書をPDFで発行する際に気をつけるポイント

請求書をPDF形式で発行する際は、以下の点に留意する必要があります。

取引先への事前確認

請求書をPDF形式で発行する際には、事前に取引先へ確認を取りましょう。事前の連絡なしにPDFでの請求書発行に移行した場合、取引先が対応に困惑したり、請求書に気づかないといった事態を招く可能性があります。また、企業によっては請求書の原本を必要とする場合もあるため、PDFでの発行が可能かどうか、事前に確認しておくことが重要です。PDFでの送付に切り替えられる取引先と、引き続き紙媒体での送付が必要な取引先を明確にしておきましょう。

PDFファイルへのパスワード設定

請求書をPDF形式で送付する際は、セキュリティ対策を徹底することが不可欠です。請求書には、取引内容、金額、口座情報といった重要な情報が含まれています。メールに添付して送る場合は、PDFファイルまたはZIPファイルにパスワードを設定しましょう。パスワードは、請求書とは別の手段で伝える必要があります。ただし、パスワード付きのファイルをメールで送り、そのパスワードを別のメールで送るという方法は、セキュリティ上のリスクが指摘されています。近年では、この「PPAP」と呼ばれる方法を禁止する企業も増えているため、請求書電子化サービスやクラウドサービスを利用したファイル共有が推奨されます。請求書電子化サービスを利用すれば、専用の画面を通して請求書データをやり取りできるため、個別にパスワードを設定する手間が省けます。請求書の送付先が多い場合は、請求書電子化サービスの利用を検討すると良いでしょう。

電子帳簿保存法への準拠

2022年1月に改正された電子帳簿保存法により、電子取引でやり取りした請求書などの取引情報は、電子データのまま保存することが義務付けられました。PDF形式で請求書を発行・受領した場合、原則として紙に印刷して保存することは認められず、電子データとして保管する必要があります。請求書発行をPDF化するツールを選ぶ際は、請求書PDFの保存・管理機能も備わっているツールを選ぶのがおすすめです。データの送受信から保管・管理までを一元的に行えるツールを選ぶことが重要です。

ツールの一元管理の重要性

請求書などの電子帳票の保管・管理と受領に別々のツールを使用している場合、9割以上の人が業務効率の低下を感じ、7割以上の人が情報漏洩のリスクを感じているというデータがあります。請求書をPDF化して業務効率を向上させたいのであれば、請求書の送受信と保管・管理を同じプラットフォーム上で行えるツールを選ぶことが大切です。

紙の請求書をPDFに変換する方法

手元にある紙の請求書や、保管している請求書の控えをPDF形式に変換するには、スキャナーや複合機を利用してスキャンするのが一般的です。スキャンして作成したPDFデータは、電子帳簿保存法の定めるスキャナ保存の要件を満たすように注意する必要があります。JIIMA認証(電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証)を受けているサービスを活用するなどして、スキャナ保存に関する必要な体制を構築しましょう。なお、国税庁はスマートフォンやデジタルカメラ等による読み取りも認めています。

請求書をPDF形式で保管する際の留意点

PDF化された請求書を受け取った際に、保存する上で注意すべき点について解説します。

電子的に受け取った請求書は電子データとして保管する

2022年1月の電子帳簿保存法改正によって、電子データとして受領した請求書は、電子データの形式でそのまま保存することが義務付けられました。改正以前は、PDFで送付された請求書を印刷して原本として保管することも容認されていましたが、改正後は電子的な保存のみが正式な保存方法となります。

紙媒体の請求書は紙、または電子データのいずれかで保管する

紙で受け取った請求書については、紙の状態で保管することも、スキャンして電子データとして保管することも可能です。ただし、電子データとして保存する場合には、電子帳簿保存法の要件を遵守する必要があります。電帳法改正前は、紙の請求書の保管方法と統一するために、電子データも紙に出力して保管する企業も多く見受けられました。しかし、電帳法の改正後は、電子データは原則として電子データとして保存する必要があるため、請求書を一元的に管理することを考慮すると、紙の請求書も電子データとして保存する方法に合わせるのが効率的です。

請求書PDFの電子保存:法規制を遵守するために

請求書をPDF形式で電子的に保存する場合、電子帳簿保存法の規定を遵守する必要があります。この法律では、「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの主要な要件が定められています。

真正性の担保

真正性の担保とは、電子化されたデータが改ざんされていないことを証明するためのものです。これには、以下の対策が求められます。

  • タイムスタンプの付与:記録された時点での存在と非改ざん性を証明します。
  • 修正・削除の記録:変更履歴を確実に保存します。
  • 相互関連性の保持:関連する情報との紐づけを明確にします。
  • 関連書類の保管:請求書に関連する書類を適切に保管します。

可視性の確保

可視性の確保とは、電子データを必要な時に容易に閲覧できるようにするためのものです。具体的には、以下の対策が必要です。

  • 明瞭な表示:誰が見ても内容を理解できるように、データを見やすく表示します。
  • 高度な検索機能:必要な情報を迅速に見つけ出すための機能です。

検索機能においては、以下の条件を満たす必要があります。

  • 取引日、勘定科目、取引金額といった重要な項目で検索できること。
  • 特定の日付範囲や金額範囲を指定して検索できること。
  • 複数の項目を組み合わせて絞り込み検索できること。

ただし、税務調査の際に求めに応じてデータをダウンロードし、税務担当者に提示できる体制が整っている場合は、検索機能の確保は必須ではありません(2024年1月施行)。

また、基準期間の売上高が5,000万円以下の中小企業で、税務調査時にデータ提出要請に対応できる場合も、検索機能の要件は免除されます。(2024年1月施行)

請求関連業務を電子化する効果的なツール

請求書PDFの作成、送付、管理を効率化する多様なソリューションが提供されています。これらのサービスを活用することで、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応をスムーズに進めることが可能です。

TOKIUM請求書発行

請求業務の効率化をお考えですか? 「TOKIUM請求書発行」は、請求書の作成、送付、そして管理までをクラウド上で一元的に行うことができるサービスです。経理担当者の業務負担を軽減し、生産性向上に貢献します。

請求書作成においては、大量の請求書を一括で作成できる機能や、柔軟なレイアウト調整機能が備わっており、様々な取引先の要望に応じた請求書を作成できます。また、送付方法もメールや郵送など多様な手段に対応しており、郵送業務はTOKIUMが代行します。

印刷、封入、発送といった手間のかかる作業から解放され、時間とコストを大幅に削減できます。これにより、経理部門はより重要な業務に集中できるようになります。さらに、SOCレポートやISMS認証を取得しており、セキュリティ面でも安心してご利用いただけます。

マネーフォワード クラウド請求書

請求書の発行をもっと手軽に、より正確に、そして安全に行いたいのであれば、「マネーフォワード クラウド請求書」のような電子帳簿保存法に対応したクラウド型ソフトウェアの導入がおすすめです。

まとめ

請求書をPDF化することで、コスト削減、業務効率の向上、容易な検索、改ざん防止、そしてテレワークの推進など、数多くの利点が得られます。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も視野に入れ、自社にとって最適なソリューションを導入することで、請求業務の効率化とペーパーレス化を促進することができます。

請求書のPDF化は、単なる形式の変更に留まらず、企業のビジネスプロセス全体を革新する可能性を秘めています。この機会に、請求業務の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。

質問1:請求書をPDF形式で発行する際、電子署名は必須ですか?

回答1:電子署名は、電子的な書類の作成者を特定し、内容が改ざんされていないことを証明する技術です。PDF形式の請求書に電子署名を加えることで、セキュリティレベルを高めることができますが、必ずしも必要というわけではありません。取引先と電子署名の必要性について事前に確認し、合意を得ておくことが大切です。

質問2:請求書をPDFに変換してメールで送付する際、注意すべき点は何ですか?

回答2:請求書をPDF形式にしてメールで送る際には、以下の点に留意してください。

  • PDFファイルにパスワードを設定し、そのパスワードは別の方法で伝える。
  • メールの件名にはっきりと「請求書」と記載する。
  • メールの本文には、請求書の内容を簡潔に説明する文面を添える。
  • 誤って送信することを防ぐため、送信先のアドレスをしっかりと確認する。

質問3:電子帳簿保存法に準拠した請求書管理システムを選ぶ上で重要な点は何ですか?

回答3:電子帳簿保存法に対応した請求書管理システムを選ぶ際には、次の点を確認しましょう。

  • 公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を受けているか。
  • タイムスタンプを付与する機能があるか。
  • 検索機能が使いやすく、充実しているか。
  • セキュリティ対策が十分に施されているか。
  • 会社の業務プロセスに適しているか。
  • 費用対効果が高いか。

質問4:インボイス制度に対応するために、請求書をPDF化する際に気をつけるべきことは何ですか?

回答4:インボイス制度に対応した請求書をPDF形式で作成する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 適格請求書発行事業者としての登録番号を明記する。
  • 税率ごとに区分した課税売上高(税抜または税込)の合計額を記載する。
  • 税率ごとに区分した消費税額を明確に記載する。

質問5:請求書を紙媒体からPDF形式にする際、推奨される解像度はありますか?

回答5:紙の請求書をスキャンしてPDF化する際には、200dpi以上の解像度で保存することをおすすめします。解像度を高く設定することで、文字の視認性が向上し、OCR(光学文字認識)による文字認識の精度を高めることができます。ただし、解像度を過度に高く設定すると、ファイルサイズが大きくなる可能性があるため、適切なバランスを見つけることが重要です。

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March 17, 2025